シーサーや石敢當 沖縄に今も残る魔よけの文化

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シーサー
シーサー

沖縄には魔除けの文化が今でも残っています。沖縄では「ヤナカジ・シタナカジ」とよばれる「悪鬼悪霊」が存在すると信じられています。
このような「ヤナカジ・シタナカジ」がひとたび屋敷内に入り込むと、家屋敷は荒れ、そこに住む家族の健康がそこなわれ、家庭生活はたちまちのうちに破壊されてしまうとされます。

こうした魔の侵入を防ぐために「魔よけの文化」が発達しました。

沖縄の悪霊

  • ヤナカジ ・・・ 「カジ」とも言われ、悪い霊の総称です。成仏できていない状態とされ、生きている者(イチミ)は負けてしまい、発熱や腹痛などの症状が出るとされています。
  • シタナカジ ・・・ こちらも沖縄では悪霊のひとつで、ヤナカジのなかでも「汚い霊」です。
  • ミチバタムン ・・・ 道に彷徨う悪霊となり、他にも「ミチヌムン」「ミチマユイムン」などと言われています。こちらも生きている者は負け、発熱や吹き出物として現れます。
  • タタリムン ・・・ 名前の通り祟りの念を持って現世に残っている霊です。
  • マジムン ・・・ こちらは霊ではなく妖怪で、動物や道具などあらゆる物に入って人々を惑わす存在と言われています。「ムン」とも言われますが、ムンの方が人に憑依する性質があり、災いが大きい妖怪です。

シーサー

シーサー
シーサー

シーサーは、沖縄県などでみられる伝説の獣像で、建物の門や屋根、村落の高台などに据え付けられます。家や人、村に災厄をもたらす悪霊を追い払う魔除けの意味を持ち、屋根の上に設置されることが多いです。屋根獅子は屋根を飾る装飾品ではなく魔よけです。

石敢當

石敢當
石敢當

沖縄のいたるところで見られる「石敢當」は、道のつき当りでたむろするとされる悪鬼悪霊の侵入を防ぐための魔よけです。

元は中国伝来の風習で、福建省が発祥とされています。似たような魔よけは中国のみならず、台湾・香港・シンガポール等の一部の地域にも見ることができます。

沖縄県では、「いしがんとう(いしがんとぅ)」、「いしがんどう」と呼ばれ、鹿児島県では「せきかんとう」、「せっかんとう」と呼ばれます。

市中を徘徊する魔物「マジムン」は直進する性質を持つため、丁字路や三叉路などの突き当たりにぶつかると向かいの家に入ってきてしまうと信じられています。

そのため、丁字路や三叉路などの突き当たりに石敢當を設け、魔物の侵入を防ぐ魔よけとします。魔物は石敢當に当たると砕け散るとされます。

ヒンプン

ヒンプン
ヒンプン

ヒンプンとは沖縄の古民家の門によく見られる壁のことで、名前の由来は中国語の「屏風」から来ています。

家の中を見えないようにする目隠しの役割もありますが、「石敢當」と同じような魔除けの意味も込められています。

沖縄の魔物は角を曲がるのが苦手なため、このヒンプンで直進して家の中に入って来るのを防ぎます。また動線を振り分ける役割もあり、男性は右から女性は左から入るという決まりがあります。

スイジガイ

スイジガイ
スイジガイ

スイジガイは、沖縄では6本の突起がある特徴的な貝殻で有名な魔除けです。形から漢字の水という字に見えるので、水字貝と書きます。

このスイジガイは、水を連想するということで、火難避け・魔除けとして使われています。

水は火を消すという理由で、昔はカマドの近くにぶら下げて火難避け、豚小屋などにぶら下げて疾病除けとしていました。

軒下や門に下げるのは主に、難を避けるという魔除けとして使われています。飾り方にも向きがあり、貝殻の口を外にして吊るします。

また、門や屋根囲いのブロック塀の上に貝のおかれた家も見かけます。貝は「アジケー」とよばれるシャコガイやスイジガイで、魔よけの呪具の一つとして用いられています。

フーフダ

門柱や屋敷の四隅にまじないらしき文言を墨書きした短冊型の板をはりつけている家があります。それもまた、家の中に魔が入り込むのを防ぐための魔よけです。本土では見られなくなった「フーフダ」とよばれる木の札になります。

フーフダ(漢字では符札と書く)は沖縄県で行われる木簡(もくかん)又は紙札で、門や屋敷の四方に貼り、魔除けとなすものです。

シビランカ

家の中には、棟木に打ちつける「紫微鑾駕」という棟札があります。「シビランカ」と読み、悪鬼悪霊が家によりつかないようにするための魔よけです。

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