
沖縄県名護市屋部にある屋部寺(やぶでら)は、正式名は「凌雲院」といいますが、「屋部寺」という呼び名のほうが有名です。
琉球七観音のひとつである屋部寺には、本尊の薬師如来像をはじめとする七体の仏像が納められており、昔より病の回復にとてもご利益がある寺と言われます。
屋部寺は、健康面に不安を抱いている方におすすめのパワースポットです。
屋部寺(凌雲院)の由来

山門をくぐると、すぐに屋部寺の本堂が見えます。
屋部寺の由来は、1692年に凌雲和尚が教えを広めるため、屋部村に粗末な小屋を結んだのがはじまりとされています。
今も残るお堂の背後の小さな石囲いに凌雲和尚が座し、屋部村のお祓いをしたと伝えられます。
凌雲和尚は教えを広めるかたわら積極的に村人と交わり、子どもの教育に力を尽し、村の発展に寄与したとして大いに敬愛されたそうです。
開祖は凌雲和尚、西暦一六九二年屋部邑に草庵を構結して楽道安身の処となす。
当時大旱釈道周く通ぜし和尚の昼夜の念経呪法により終に大雨降る。また、屋部村に多かりし火災をも無くせり。
西暦一九七七年初春建碑
屋部寺とヤブ医者
「ヤブ医者」という言葉は、屋部寺が語源という説があります。
その昔、中国から名医と呼ばれる医者が沖縄に渡り、その方が本当に沢山の人々を救ったそうです。しかし、そのお医者さんは医師免許を持ってはいませんでした。そのことから、「医師免許を持っていない医者」=「ヤブ医者」と呼ばれたそうです。
そのお医者さんが亡くなった後、凌雲院(屋部寺)に祀られました。
屋部寺はとても有名なお寺
屋部寺は小さな無人寺ですが、地元はもとより県内外の各地から健康祈願に多くの人が訪れるほど有名なお寺です。
私もユタに健康状態について相談したところ、屋部寺に行きなさいと勧められました。ユタなど、本格的に祈願をする方々が訪れる場所としても知られます。
屋部寺には、那覇から車で高速を利用しても1時間半以上かかりますが、名護方面に行かれる場合はぜひ立ち寄りたいスポットです。
屋部寺は琉球七観音のひとつ
沖縄には、琉球七観音と呼ばれる観音堂があります。
各集落に根付いた観音堂があるのですが、いつしか「観音堂巡りの聖地」として広まったのが「琉球七観音」です。琉球七観音には、この屋部寺も含まれています。
① 首里観音堂(臨済宗慈眼院)
② 奥武観音堂
③ 金武観音堂
④ 嘉手刈観音堂
⑤ 喜名観音堂
⑥ 久志観音堂
⑦ 屋部寺(凌雲院)
沖縄で観音堂巡りをする方々は旧暦九月頃に行う慣習がありますが、正五九月は忌み月とされ、この月に拝みをすることで厄災から逃れるとされています。
屋部寺の7体の仏像

屋部寺の小堂には、本尊の薬師如来像をはじめとする七体の仏像が納められています。
仏像は左から、

子安地蔵菩薩は、「お地蔵様」と呼ばれ、身近で親しまれている菩薩様です。 人々を守るようにとお釈迦様からいわれ、現れたのが地蔵菩薩です。
子宝や安産などのご利益があります。

十三仏の初七日導師で、いつも身近で私たちを護るため、大日如来が姿を変えて現われたのがお不動様です。
厄難除災、出世や商売繁盛などのご利益があります。

観音さまの正式名称は「観世音菩薩」または「観自在菩薩」です。
「観音経」の中に、人々の音声を観じて人々の苦しみを聞いてそれを救う為に神通力を発揮する「菩薩の中の菩薩」が観音さまであり、また七難を除いて三毒を消すと説かれています。
七難とは、①火難、②水難、③羅刹難、④刀杖難、⑤鬼難、⑥枷鎖難、⑦怨賊難です。

屋部寺の本尊です。
薬師如来は、「薬の師」と書いて「やくし」と読みます。仏教が日本に伝えられた最も初期から信仰されている仏様です。病気を平癒し、身心の健康を守ってくださる現世利益の仏様です。
病気回復、心身安楽、災難・苦悩消滅などのご利益があります。

延命観音は三十三観音の一で、呪詛 (じゅそ) ・毒薬の害を除き寿命を延ばすといわれます。
長寿、健康、安産、知恵、金運などのご利益があります。

大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を、その無限の大慈悲の心で包み込み、救う所から名付けられたとされます。
五穀豊穣、無病息災、子授け、子供守護、水子祈願、交通安全などのご利益があります。

仏教の開祖です。古代インドの小国、釈迦族の王子で本名はゴータマ=シッダールタです。妻や子供もいた実在の人物で、釈迦如来とはその釈迦が悟りを得た姿をあらしています。
特化したご利益は無く、悟りを開くにあたりご利益があります。

となっています。
屋部寺の境内にある立派な鐘撞堂

屋部寺にある立派な鐘撞堂では除夜の鐘が撞かれているそうです。
坊主御井戸(ボウジウカー)

屋部寺の境内にある広場の奥には、カー(井戸跡)があります。
坊主御井戸(ボウジウカー)と呼ばれる井戸跡で、昭和六十二年(旧九月十五日)に復元されたものです。
コメント