交通事故刑事裁判 はじめに

刑事裁判

近年、交通事故は減少しているというが、高齢者による事故や自転車の事故など痛ましい事故はなくなることはない。

刑事裁判となったある自動車運転過失傷害事件をモデルとして、被害者の立場から見た交通事故の加害者の責任とその追及について実際の裁判を通して考えてみる。

この実録交通事故刑事裁判は、被害者側が何度も警察の現場検証についてヒヤリングすることで事故の状況を把握し、また、損害保険会社の事実と反する動きも察知することができたことから、刑事裁判で納得のいく判決を導き出せた事例である。

この事例が、少しでも他の事故の被害者の参考となればと思う。

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事例 自動車運転過失傷害事件の概要

事故の態様

被告人が車両を運転して通学路径路ともなっている交差点に進入するにあたって、閑静な住宅街の最高速度時速30キロメートルの下り坂の道路を時速50キロメートル以上の高速で進行し、交差点横断歩道上で被告人車両に気づいて後ろに下がろうとしている自転車に乗った被害者を発見して急転把・急制動を試みたものの、被害者との衝突を避け得なかったという事故である。

交通事故

交通事故に遭ってしまった場合、まったく同じ態様の事故というものは存在しえない。交通事故の判例をもとに過失割合を検討することになるが、その判例に修正要素(スピードの出し過ぎなど)を加味した本来の事故の過失割合を考える必要がある。そして、その過失の立証責任は被害者にある。

この事故でのポイント

  • 自転車と自動車の衝突位置
  • 被害者と自転車が倒れていた位置
  • 自動車のタイヤ痕
  • 自転車のタイヤ痕
  • 歩道がある交差点
  • 自動車の走行速度
  • 自転車の走行速度

すぐに示談交渉を始める保険会社

この事例での被害者は全治6ヶ月の重症を負ったが、損害保険会社は病院のICUに入院している時から、交通事故の判例にある基本の過失割合を提示して示談交渉を進めようとした。

このように、損害保険会社は交通事故による損害額を加害者の代わりに支払ってくれる立場ではあるが、あくまで契約者である加害者の意向に沿い、加害者が少しでも有利になるように早い段階から行動していることを忘れてはいけない。

事故の態様を警察の現場検証から分析する

損害保険会社の事故分析を信じてはいけない。

この事例では、横断歩道上に車と自転車のタイヤ痕が存在しており、衝突位置とそれぞれの導線が分析できた。しかし、損害保険会社独自の事故分析では、横断歩道上の自転車のタイヤ痕は交差点の真ん中でぶつかった自転車が飛ばされてできた時についたタイヤ痕であるとして、その旨を加害者から警察に説明させ、近所の損害保険会社の代理店をその目撃者として立てようと企んだ。

このように、損害保険会社の中には加害者の過失割合が少しでも有利になるように裏工作をすることがあるので、何度も警察に事故の状況を確認しながらポイントとなるところを分析する必要がある。

交通事故での加害者が負う責任

交通事故を起こすと、加害者は、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任の3つの責任を負うことになる。

民事上の責任

被害者に対する民事上の損害賠償責任のことで、自賠責保険・自動車保険はこの損害を肩代わりする。損害賠償に関する被害者との交渉は、自動車保険(任意保険)に加入していれば保険会社が示談交渉にあたってくれるが、任意保険に未加入の場合は損害賠償を自身で行うことになる。

刑事上の責任

過失により交通事故を起こし、人を死傷させた場合、自動車運転過失傷害罪に問われることになる。重症事故や死亡事故であってもが刑事裁判になることは少なく略式裁判(罰金刑)で終わることが多い。

行政上の責任

交通事故や交通違反をした場合、その程度に応じて一定の点数をつけ、その合計点数により免許の取消しや停止が行われることになる。
免許取消し・停止の処分は公安委員会が行政機関として行政上の目的から行うもので国が刑罰権の行使として問う刑事上の責任とは性質が異なる。

交通事故の被害者が取るべき行動

不幸にして交通事故に遭ってしまった時、被害者は事故の態様や怪我の程度から加害者に3つの責任を行使させるべく、目撃者などからヒヤリングして事故および事故後の状況を調査し、警察署長、検察官宛に上申書を提出し、事故の態様や加害者の態度などを訴えるなどの行動を起こすことが必要である。

実録 交通事故刑事裁判 第1回公判につづく

交通事故刑事裁判 第1回公判
自動車運転過失傷害事件 第1回 公判 証拠調べ 開廷までの様子 裁判開始10分前には、検察官、弁護士、書記官が揃う。検察官、...

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