自動車運転過失傷害事件 第1回 公判 証拠調べ
開廷までの様子
裁判開始10分前には、検察官、弁護士、書記官が揃う。
検察官、弁護士、書記官が雑談を交わしている。彼らにとって裁判は日常のことで、たびたび顔を合わせるので顔見知りなのだろう。
ちょうど裁判の開始時刻になったところで裁判官が入廷する。
裁判官が入廷した瞬間、全員起立して一礼、今まで和やかだった法廷の雰囲気はがらりと変わり静寂がつつむ。
一礼の後、書記官が電話をかけている。きっと、別室で待機させられていた被告人を呼んでいるのだろう。間もなく、被告人が弁護士と共に入廷してきた。
被告人は、裁判官へ一例することもなく弁護士の後について被告人席を通過した。そして、そのまま弁護士のとなりに座ってしまった。一見30代と見える弁護士もとがめる気配がない。
外国の裁判で見る光景では、弁護人のとなりに被告人が座っているが、日本も同じ感じなのかな?と思った瞬間。
裁判長が、「被告人はそこではありません。被告人席に座って下さい。」と促す。
そして、第1回公判が始まった。
冒頭陳述と証拠調べ
1.冒頭手続
- 人定質問
- 起訴状朗読
- 黙秘権等の告知
- 被告人・弁護人の起訴事実に対する認否
2.証拠調手続
- 検察官の冒頭陳述
- 検察官の立証
- 証拠調べ請求
- 被告人・弁護人の意見
- 証拠決定
- 証拠調べの実施(証人、証拠書類、証拠物)
- 被告人・弁護人の立証
- 証拠調べ請求
- 被告人・弁護人の意見
- 証拠決定
- 証拠調べの実施(証人、証拠書類、証拠物)
までが行われた。
項目は沢山あるが、あっと言う間に進んでいく。
冒頭陳述が終わると、検察官は証拠調べの請求がはじまる。この手続きは、検察官が冒頭陳述で述べた事実を証明するために必要な証拠を公判手続きで取り調べてもらうように申し立てる手続きだ。
証拠は、証拠等関係カードと呼ばれる一覧表に整理されて、裁判官と弁護人に配られている。同意されなかった証拠については扱われないため、検察官は別の方法を考えて立証しなくてはならなくなる。
検察官証拠について被告人側に全て同意する
つまり、被告人は起訴された内容について全面的に認めて争わなということだ。
被告人証拠の保険証書、謝罪文を同意する
被告人は、任意保険の加入と謝罪文で情状酌量を狙う規定路線である。重症交通事故の場合、懲役1年6か月 執行猶予3年が目安であるが、執行猶予を付けてもらうための作戦と言える。
しかし、裁判官は被告人謝罪文については朗読を許さず、被告人質問の後にとり行うとの事。被告人の謝罪について真意であるかを見定めてから朗読させるかを考えるということだろう。
裁判の時間はあっと言う間に流れる
初回の裁判は、証拠調べ手続までで閉廷となった。
裁判時間は30分。ほとんどが手続きのみなので、裁判官、弁護士、書記官は慣れたように穏やかに手順を踏む。
第2回、第3回の裁判の日程までが決まっての30分なので、正味は20分程度だ。起訴された内容を全面的に認めたことになるので、おそらく4回目で判決を言い渡すのであろう。
実録 交通事故刑事裁判 第2回公判につづく