自動車運転過失傷害事件 第3回公判 論告要旨
第3回公判は、
1.論告要旨
2.委託弁護人による意見書
3.弁論要旨
4.被告人の最終弁論
まで。
論告求刑のあらすじ
被告人の妻らしき人物がこっそりと傍聴していた。
被告人は、最終弁論でも何をどう反省しているのかが全く判らなかった。論告求刑においても始終無表情であった。弁護士に、執行猶予は付くからと言われているのだろう。
被告人は、最終弁論の終わりに被害者サイドではなく裁判官に向かって一礼をして「すみませんでした」と謝る。
論告要旨
自動車運転過失傷害
第1 事実関係
当公判廷で調べられた関係各証拠により、その証明は十分である。
第2 情状関係
1 本件過失は重大である。
被告人は、横断歩道の直前で一時停止又は減速徐行し、横断歩道を横断する自転車等の有無及び安全を確認して進行するという自動車運転者としての最も基本的な注意義務を怠って事故を起こしたものであり、その過失は重大である。
被害者は、自転車及び歩行者等の聖域ともいうべき横断歩道を自転車で通行していたところを突然被告人運転車両に追突されたのであって、何らの落ち度も認められない。
2 被害結果は極めて重大である
被害者は本件事故により、入院加療約10か月間を要し、脳外傷後高次脳機能障害、左上肢機能障害及び体幹機能障害の後遺症が残る見込みの大怪我を負い、一生車椅子生活と介助が必要な状態と診断されており、看護師になるという夢を絶たれているのであるから、被害結果は極めて重大である。
3 真摯な反省の態度が見られず、被害者の両親の処罰感情は厳しい
被告人は、これほど重大な事故を起こしたにも関わらず、事故現場での実況見分の際には、被害者及びその両親が来ている現場に事故を起こした車で乗り付けた上、警察官に対し、横断歩道ではなく、交差点中央付近で起きた事故である旨事実に反する弁解をするに至っており、さらに、被害者の両親が、目撃者捜しをするための張り紙をしているのを見つけるや、自己中心的な考えから、同日夜間、被害者の母親の携帯電話に電話を架けて、前記張り紙をしたことなどについて、繰り返し長時間にわたって怒号するなどの常軌を逸した行為に及んでいる。
公判の直前になって被害者等に謝罪文を送付しているが、公判での供述態度からしても、真摯な反省の態度は見られない。
前記各事情からすれば、被害者の両親の処罰感情が極めて厳しいのも当然のことである。
第3 求刑
以上の諸情状を考慮し、相当法条を適用の上、被告人を
禁固1年6月
に処するを相当と思料する。
実録 交通事故刑事裁判 第3回公判パート2につづく