水泳選手が水泳大会に出場できるまでの手続きはいろいろあり、他のスポーツと比べて煩雑だと言われる。水泳選手として水泳大会に出場するためにはどうすればいいのかについてまとめてみたい。
水泳選手登録をすることで水泳大会に出場できる
日本水泳連盟に水泳選手として登録してIDを取得し、各都道府県の水泳連盟(協会)に登録している団体に水泳選手として登録をすれば水泳選手として各種の大会に出場できる。市水泳連盟主催の大会などでは、所属先所所在地にある市水泳連盟に登録している団体からでないと出場できないものもある。
第1所属と第2所属
水泳選手個人は同時に2つの団体に所属できることになっている。
第1所属は学校の水泳部へ所属、第2所属は水泳クラブへ所属である。
どちらかの団体に所属しても、どちらに所属していても問題はないが、第1所属と第2所属はそれぞれ1つの団体しか登録できない。
大会には、所属している1つの団体から出場申請することができるので、中体連や高体連主催以外の大会であれば、第1所属から出場するか、第2所属から出場するかを選べる。
第1所属は、学校に水泳部があれば団体登録は行われているはずである。水泳部がある学校に在籍して水泳選手登録を毎年更新すれば、少なくとも大学を卒業するまで水泳選手として活躍することができる。
第2所属となる水泳クラブに所属するには、地域の水泳クラブの育成・選手コースに在籍すれば良い。
水泳選手登録
日本水泳連盟に対して行う水泳選手の登録は所属先から行う。水泳選手の登録は1年単位なので毎年の更新が必要である。
日本水泳連盟の水泳選手登録時に付与されるIDは生涯同じIDであり、公認タイムがリンクされて残るので、水泳クラブを移籍した場合や、水球に種目変更した際は別IDにならないように申請しないといけない。同一人物にIDが2つ存在することはない。
移籍時の所属変更
年度の途中で水泳クラブを移籍した場合、新しい所属先から変更届を出してもらうことで所属変更の手続きが完了する。ただし水泳選手の登録カードは再発行されない。
移籍する前の水泳クラブで、これから開催される大会にエントリーを行っていた場合、所属変更を行っても、その大会には旧所属からの出場しか認められない。
このような場合は、旧水泳クラブにお願いして旧水泳クラブの水泳選手として出場するか、了承されない場合はその大会への出場はあきらめるしかない。
水泳クラブで水泳選手登録までの道のり
通常、水泳クラブのクラスは、初級コース、中級コース、上級コース、ジュニア育成コース、育成コース、選手コースのように分かれており、水泳選手登録を許されるのは育成コース以上だろう。つまり、育成コースに上がることができなければ、水泳選手として登録してもらえないことになる。
育成コースに上がるためには、クラブ内で独自に決められている標準記録を突破して、コーチに推薦してもらわなければならない。
そして、育成コースから選手コースに上がる時にも、やはりクラブ内で独自に決められている標準記録を突破して、コーチに推薦してもらわなければならない。
育成・選手コースでは、標準記録を突破すれば出場できる大会が増えてゆく。
水泳大会へのエントリー
大会へのエントリーの手続きは、第1所属か第2所属のどちらかの所属先の団体から行ってもらう。どちらかに所属していれば、県内で行われるほとんどの大会にエントリーできるほか、県外で行われる大会へもエントリーすることができる。
所属先が学校の場合、水泳部として市水泳連盟や県水泳連盟に団体登録していないとエントリーができない。中体連や高体連では県水泳連盟には登録しているが市水泳連盟には登録していないということがあるので確認が必要になる。
第2所属の水泳クラブでは、県水泳連盟と所在地がある市水泳連盟の登録はされているため、学校関係の大会以外はエントリーが可能だ。
少し特殊な中体連の大会と高体連の水泳大会
学校に水泳部があれば、クラブ顧問もいるので手続きで困ることはないだろう。もし学校に水泳部がなければ、学校と交渉して団体登録をお願いすることから始めなければならない。
中体連の大会
団体登録
中学校は義務教育なので中体連や県水泳連盟の団体登録料は必要ない。校長から出場の許可をもらい、学校から書類を提出してもらえば出場できる。手続きの中では不慮の事故などのため任意保険加入の番号が必要になる。
大会への引率
水泳クラブがある学校は顧問の教員が引率してくれるが、水泳クラブがない場合は保護者引率の特例をお願いすることができる。
保護者による引率の特例では、保護者は生徒を大会に引率して行動に責任を持ち、子供は授業の一環として大会に出場することを求められ、大会への参加は制服を着用する。
そして保護者は大会当日の役員をやらなくてはいけない。大会当日に行われる監督者の会議に出席しなければ、生徒の出場は認められずに失格となるなど保護者の負担は大きい。
大会役員は、召集係、計時係、駐車場係などの大会運営にかかるすべての作業を割り当てられる。自分の子供が泳ぐときに役員を割り当てられることもあり、ゆっくりと観覧することはできない。
大会の種類
市総体→県総体、市選手権→県選手権→ブロック大会→全中、新人戦などがある。
県大会とブロック大会への出場
大会の標準タイムをクリアしていると上位大会にエントリーできる。決勝で上位8位に入れば、市代表や県代表として上位大会へ出場でき、交通費と宿泊費が支給されて他校の生徒と大会への行動を共にする。
標準記録を突破していれば市代表を辞退し別行動で上位大会へ出場することもできるが、交通費と宿泊費は実費負担になる。
中体連の主催ではない大会への出場
中体連の主催大会でない市水泳連盟主催の大会に出場するには、中学の水泳クラブが市水泳連盟に団体登録していなければならない。
高体連の大会
団体登録
高校では、高体連への団体登録費用、県水泳連盟、市水泳連盟への団体登録が必要になる。高校に水泳クラブがあれば、部費として徴収されると思うが、水泳クラブがない場合はすべての団体登録が実費負担になる。
大会への引率
中学では保護者による特例の引率が可能だが、高校では教師引率のみしか認められない。水泳部がない場合でも、いづれかの教師が引率してくれないことには大会に出場できない。
教師は大会前に行われる監督者会議へ出席し、また大会当日の監督者会議へも出席しなければならない。大会役員も教師が行う。教師が、監督者会議や大会へ出席できなければ、生徒の出場は認めず失格となる。
高校の大会では親の負担は軽い。
大会の種類
春季大会、 地区大会→選手権→ブロック大会→インターハイ、地区大会→秋季大会、新人戦などがある。
地区大会への出場
高校の大会は地区大会から始まる。この地域の高校で行われる地区大会に出場しなければ、いくら他の大会で標準タイムを切っていても高校の上位大会には出場できない。また大会は、高校のプールで行われるため、地区大会での記録は公認記録とはならない。
県大会への出場
中学では標準記録を突破していれば市代表を辞退し別行動で上位大会へ出場することもできるが、高校ではできない。高体連が斡旋する宿泊施設に泊まる必要があり、別行動は認められない。
ブロック大会への出場
県代表選手として移動や宿泊は行動を共にする。別行動は認められない。
高体連の主催ではない大会への出場
高体連の主催大会でない市水泳連盟主催の大会に出場するには、高校の水泳クラブが市水泳連盟に団体登録していなければならない。
水泳選手が出場できる水泳大会はランク分けされている
水泳選手登録をすればどの大会でもエントリーできるわけではない。
出場できる大会は、年齢と泳法と距離毎に設定された標準記録を突破しているかで決まる。
誰でもエントリーできる大会から始まり、水泳資格級が5級以上の水泳選手のみの大会や、最高峰では日本の代表選手のみが出場できる大会などがある。
上位の大会に出場するには、大会ごとに設けられた年齢毎の標準記録をクリアする必要があるのだ。
大会標準記録については日本水泳連盟のサイトを見ると良いだろう。
まとめ
水泳大会に出場するまでの手続きについては、水泳クラブ、中学、高校で全く違い、他のスポーツと比べ煩雑でわかりにくいという。私も情報をあつめて水泳大会のしくみを理解するまでに時間がかかった。
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