人間はみなシックス・センス(第六感)を持っていると言われる。
シックス・センス(第六感)は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)以外のものを指し、直感、霊感、超感覚的知覚(ESP)や予知能力などとも言われる。
この第六感なるものが潜在的に人間にも備わっているということは、米・マサチューセッツ州医科大の神経生物学者、スティーブンレパート氏によって証明されているようだ。
私も第六感が働いたかのような体験がある。
虫の知らせ
私の母は癌で入院し1年間闘病生活を送っていた。
それは冬の寒い日のことだった。
私は22時頃に床についたのだが、深夜2時にふと目が覚めた。目が覚めると無性にあることが気になってしょうがない。あることとは来客があったときに客間に布団を出したままにしていたことだ。
来客があったのは半年も前の話。なぜ、突然そのことが気になったのかは判らなかったが、「押入れにしまわないといけない。」という衝動が抑えきれない。
時間が経っても「今すぐに片づけないといけない。」という考えがどうしても頭から離れない私は、仕方なく寝室の2Fから客間のある1Fに降りて布団の片づけを始めた。ごそごそし始めたことで妹も起きてくる。
お兄ちゃん、こんな時間に何をしてるん?
布団を押入れに片づけないと。
何で今片づけるの?、こんな夜中にやらんでもいいんじゃない?
そうなんだけどね。なぜかわからんけど今じゃないといけないんよ。
布団を片づけた後は、客間に掃除機をかける。
今何時だと思っとるん?近所迷惑になるよ。
でもね。今かけとかんといけんのよ。
結局、1時間かけて客間を綺麗に掃除したのだった。
掃除が住むと、妙な安心感に襲われる。
ああ、よかったよかった。
深夜3時、安心して床についた。
朝7時、1Fの電話がけたたましく鳴っている。
こんなに朝早くだれだろう?
と思いながらも、遅くまで起きていたので眠たくて体が動かない。
何十回も電話が鳴った後、今度はお隣さんが窓越しに大きい声で私の名前を呼んでいる。そしてまた電話がなる。妹が電話に出たようだ。
まったく騒々しいな。もう少し寝たいのに。
と思っていたところに妹が血相を変えて飛んでくる。
お母さんが危ないからすぐ病院に来るように!
母とは前日の夕方に会って話をしたばかりだ。
昨日はあんなに元気だったのに。
すぐに支度をして病院にに駆け付ける。病院に着いた時にはもう直ぐにでも息が止まりそうな状態だった。結局、意識が戻ることはなく帰らぬ人となった。
ここで父が慌てだす。
お母さんを家に連れて帰らないといけないけど、客間に布団を置いたままだ。先に誰か帰って片づけないといけない。
私は答えた、
ああ、それはもう大丈夫だよ。夜中に片づけておいたから。
半年もそのままにしておいたのにこれは偶然ではない。あの時は、どうしても夜中に片づけないといけないという使命みたいなものがあったのだ。
これが第六感とでも言うものなのだろうか。
事故の予感
私が20歳のころ友人宅に遊びに行った時のことだ。
自宅から10kmほど離れていたので、友人がバイクで自宅まで迎えに来てくれた。友人宅に向かう2人乗りのバイクで私は特に変わったことはなかった。そして、友人宅でたわいもない時間を過ごし帰宅するときも友人がバイクで送ってくれた。
だが帰宅途中に広い通りに差し掛かろうとしたとき、私は友人に告げる。
なんか事故に遭うような胸騒ぎがするから慎重に運転してくれるかい?
友人は、
大丈夫、大丈夫だって。
と聞く耳を持たない。
いや、これマジだから。本当にそんな気がするから気をつけてよ。
と訴える。自分でも体が興奮状態になっているのがわかるほどだ。
でも友人は、
大丈夫だよ。いつも通っている車も少ない通りだし。
と聞く耳を持たない。
中央に分離帯がある広い通りを直進していたところ、突然前方の分離帯の隙間からUターンするトラックが現れて完全に真横になって道を塞いだ。
回避することは困難だ。Uターンするトラックが進行方向に対して少し斜めになったとき、バイクはトラックに追突してしまった。
2人一緒に10mくらいは宙を舞っただろうか、道路わきの街路樹をなぎ倒し着地したところは幸いにも植え込みの中だった。
おい、大丈夫か?
お互いの様子を確認する。
事故ってしまった。ごめんな。
と友人が言う。
当たってしまったね。
植え込みに落ちたことがクッションになり、2人とも全身打撲程度で済んだからよかったのだが、そんな会話でもしていなければトラックが真横に塞がったころに激突していたかもしれない。
感覚だけのGPS
小学校低学年だった子供が暗くなっても帰ってこない。学校に電話してみると、早くに帰宅したと言われる。きっとどこかで道草をくっているに違いない。
学校の先生がいつも遊んでいる場所を探してくれたが見つからない。
こんなときは、とりあえず落ち着いて集中しどちらの方向にいるかを感覚で探る。
東。。違う。
西。。違う。
北。。違う。
南。。こっちだ!
迷うことなく自宅から南方向に向かって歩き出す。こちらの方向にいつもの遊び場はないはずだが直感を信じる。すると2ブロック先に差し掛かったところで、その先の曲がり角から子供がひょっこりと現れる。
こら!どこに行っていたんだ。
新しいお友達の家の前まで行ってきたんだ。結構遠かったんだよ。
なるほど、いつも遊んでいる場所にいないのは当然だ。
なぜか子供を探すときにはこのような特別な感が働いた。遊び周って家になかなか帰ってこないときには、このようにして何度もピンポイントで迎えに行ったものだ。
息子も、
何でいつも僕がどこにいるかわかるの?
と不思議そうにいう。
それは親だからだよ。
と答えた。
まとめ
普段と違う感覚を感じたならば、その時シックスセンスが働いているかもしれない。