自動車運転過失傷害事件 第2回公判 被告人質問
被害者委託弁護士による質問
(弁)検察官による甲第11号証および甲第12号証の写しを示します。
これはご覧になったことありますね。
― 詳しく隅から隅までは。
(弁)そうですか、あなたこれは在宅の事件ですから、弁護人からこういう書類がありますよと見せられた事実はいいですね。
― はい。
(弁)確認しましたね。
― はい。
(弁)甲11号証の上申書もご覧になったことはありますね。
― はい。
(弁)これらの証拠については、いずれも弁護人の方から同意しますということで、証拠として本件公判定に提示されているものですが、その意味あなたはわかっていますか?
― わかっています。
(弁)わかっている、どういう風に?この中に書いてあることは、あなたの方で積極的に反証できない限りは真実と認められることになるかもしれないと思いませんでしたか?
― もう一度お願いします。
(弁)この中に記載してあることについて、よほどの反証がないと事実として認められると言う風に思わなかった?
― わかりません。
(弁)さて、6月30日夜の、あなたの調書では10時頃となってるんだけれども、被害者のご両親の話だと10時半頃になってますね、電話のことについて聞いてみましょう、まず、電話をした相手は誰の電話番号だった?
― お母さんでしょうか。
(弁)お母さんだよね、弁第1号証を提示します。
これはあなたの自動車保険の証書ですね。
その右側の部分にA子さんって被害者の名前が書いてあって、その下に父電話番号と書いてありますね、これはあなたの字ですね。
― はい。
(弁)事故後にあなたがお父さんの電話番号を聞いて記入しました、こういうことでいいすね、そして左に女性の連絡先を!、これもあなたの字だ。
― はい。
(弁)女性とはお母さんのことでしょ?
― 記憶にありません。
(弁)記憶にないの?あなたね、事故後、3月7日以降に何回かにわたって被害者のお宅に電話をしていますけど、いずれも携帯電話だったということでいいですか?
― 一部固定電話にもかけたような気がします。
(弁)そうですか、主にお母さんの方の携帯電話に電話してたんじゃないの?
― 主はお母さんの方に。
(弁)どうしてお母さんの方に電話してたの?
― 対応くださる方が、主にお母さまで、お母さまの方がよろしいのかなと思って。
(弁)組みしやすいと思ったからじゃないですか?
― 組みしやすい?
(弁)女性の方が、あなたが楽だと思ったからじゃないの?
― いや、それは思いません。
(弁)じゃ、何故お父さんに電話しないの?
重大事故を起こしたんでしょ、損害賠償の問題や、あなたの刑事責任の問題も出てくるかもしれないんでしょ。
― お父さまにもお電話を差し上げてもいます。
(弁)いや、そうじゃなくて、どうしてお母さんの方に電話したんですか?と聞いてるの理由判らなくてもいいですよ。
― 主に対応してくださるのはお母さまだったんで、お父さまに電話さし上げている時もありますし。
(弁)そうですか、それでは6月30日のお電話の件に戻りましょう。
電話をしたのはどちらでしたか?
― その時にはそのような考え方でお母さまの方に。
(弁)あなたが6月30日に目撃したというビラの内容は概ねこのような内容であったか、よく聞いておいて下さい。
目撃者を探しています・・・・(内容について説明)
このようなビラ、あなたは見ましたね?
― 見ました。
(弁)内容はこの通りでいいでしょ?
― ほぼあっています。
(弁)あなたはこの電話番号を見て被害者のお母さんのもとへ電話をしたのですね?
― その電話番号を見たというか、チラシと照らし合わせてじゃなくて。
(弁)そうですか、それなら結構ですよ、お母さんの電話番号を知ってて、お母さんの携帯に電話したわけですよね?
― そうです。
(弁)先程あなたに見て頂いた、甲第11号証および甲第12号証の上申書を見ますとね、あなたは10時30分から1時間半にわたって被害者宅に電話をしているとなっていますが、時間は間違いないんでしょ。
― はい、間違いありません。
(弁)どんなことを話しましたか?
― あれはどういったことですか、と話し始めたと思います。
(弁)話し始めて、中身は具体的にはどんなものだったのかな?覚えていませんか?
― 先程から言われているように、被害者ですか加害者ですかという。
(弁)じゃあ、少し聞いてみましょう。
あんなやり方がフェアだと思いますか?こういう風に言ったんではないですか?
― 言いました。
(弁)お宅が被害者ですか?言ったんじゃないですか?
― お宅だけが被害者ですかと言ったと思います。
(弁)双方に責任があるでしょ、こういう風に言いませんでしたか。
― 言いました。
(弁)目撃者を探す目的は何ですか、これは言いましたか?
― 覚えていません。
(弁)スーパーには知り合いもいるから破棄してもらいます。
― それは言ったかも知れません。
(弁)通学していた小学生の子供たちはみな見てます、ほとんどの子供は私と顔見知りです。
― 言いました。
(弁)さて、こういう調子で1時間半、被害者の家に電話をしたんでしょ?
― しました。
(弁)もしあなたが被害者の親だったら、あなた自身どんな感じがしますか?
― 腹立たしいと思います。
(弁)2重に傷付けられるということはわかりませんか?
― わかります。
(弁)あなたのとられた行動というものは、先程来、弁護人や検察官の質問に対して答えておられるんですけど、要は、自己中心的な思いだったと、今から考えると思えませんか?
― 思います。
(弁)さて、6月30日の貼り紙なんですが、あなたが見た場所はどこでしたか?
― スーパーです。
(弁)スーパーだけでしたか?
― スーパーの近隣で、その時にはそこしか気がつかなかったんですが、ご近所の方から電柱にもあるよと聞いて、翌日に電柱にもあるのを確認しました。
(弁)さて、目撃者捜しのビラをどうしてご両親が始めたのか判りますか?
― 目撃者を捜されたい目的だと。
(弁)何故目撃者を捜さないといけないの?わかりますか?
― 事故の形態をお知りになりたいからだと思います。
(弁)つまり、あなたがA子さんが言っているような事故態様であるということを認めていれば、目撃者捜しをする必要がないということは判りますか?
― 沈黙・・・
(裁判官)あのね、被害者のA子さんとあなたの言ってることが食い違っていると、だから目撃者を欲していると、こういう風に思わなかったですかとそういう質問。
みんなが事故について同じことを言っていれば、目撃者を連れてくるとか連れてこないとかという話にはならんのよ、ならんじゃないですか、そういう感じがします。
だけど、目撃者をぜひともいうふうにご両親がやっているってことは、どういうことなのかなと当時考えたことは?
― 当時は思ってません。
(弁)さて、5月12日に実況見分をやりましたよね、その前の事故当日の7日にも実況見分をやりましたよね、それぞれの実況見分調書によると3月7日にはあなたの指示説明が記載してあって、5月12日には被害者の指示説明が記載してあるんですがあなたにお聞きするんだけど、5月12日の実況見分、被害者であるA子さんの実況見分が中心であったということでいいですか?
― はい。
(弁)あなたの先程のお話を聞いていても、あなたが行った時にはもう実況見分が始まっていたっていう話だったよね。
― はい。
(弁)A子さんが車いすに乗って、この辺でぶつかりましたよっていう話をあなた聞いていたんだよね。
― 聞こえる距離ではなかったので、どんな内容かは。
(弁)結構ですよ、A子さんからの指示説明の聴取が終わった後で、あなたにも当然、A子さんはこう言っているんだけど実際はどうでしたか?と警察官から説明がありませんでしたか?
― ありました。
(弁)当日の事故現場で、警察官がA子さんの言ってることと、あなたが言ってることが食い違うということで質問があったんでしょ?
― はい、食い違ってるというか、A子さんはこのようにおっしゃっていますという説明。
(弁)それが食い違いじゃないんですか?
― そうですね、私の認識とは違っていました。
(弁)食い違いについて質問がなされたわけでしょ?
― はい。
(弁)その時にあなたの説明を被害者のお母さんが聞いているのね、大下さんの家の近くから聞いているのをあなたは気づいていましたか?
― 特別には。
(弁)気付かなかったのね?
― はい。
(弁)実況見分の時に、被害者と被害者のご両親が立ち会っていたということは実況見分書により明らかなんだけど、間違いないですね。
― はい。
(弁)その時なんだけど、警察官の質問に対して、甲12号証の3枚目を見ますと、お母さんがこういう風な事を聞いたとよと言っているんです。
あなたが大声で警察官と言いあっているのを聞いていると、あなたが頭を打っておかしくなったやつのことを信じるのか、言ったといってるんだけど、そういうことを言ってませんか?
― 言ってません。
(弁)じゃあこれは、お母さんの全くの作文ですか?
― 作文とはいいませんが、私は申し訳ないんですが、言っていません。
(弁)そうですか、この事故は交差点の真ん中でぶつかり自転車が歩道に飛ばされてタイヤ痕がついたと保険会社が言ってるからそうではないかと、こういう風にあなたが言ったと記載してあるんですが、あなたはそういう風に発言したことはありませんか?
― もう一度言って下さい。
(弁)よく聞いておいて下さい、まるきり一緒とは限らないけど、同じ内容かどうかを確認してください。
この事故は交差点の真ん中でぶつかり自転車が歩道に飛ばされてタイヤ痕がついたと保険会社が言ってるからそうではないかという風にあなたが言ったのを聞いたと言うことなんですが言ってませんか?
― 記憶にありません。
(弁)言ったかどうかを覚えていない、言ったかもしれないし言ってないかもしれない、そういう事ですね?
― 全く一致かどうか判りませんが・・・
(弁)はい、結構です、それならそれで後で質問します。
その次、自転車が止まって後ずさりするくらいならなんで逃げんかったんか、とあなたは警察官に言っていませんか?
― ・・・
(弁)言ったかどうかだけで結構ですよ。
― それは申し訳ないんですが、記憶にありません。
(弁)警察は被害者の見方なんか、被害者の言い分だけ信じるんか?と言ったことはありますか、ありませんか?
― それは申し訳ないんですが、言っていません。
(弁)言ってないんですね、判りました、それでは被害者の実況見分の際の指示説明とあなたの言ってることの食い違いは何だったんですか?
あなたは何てその場で警察官に説明したかを覚えていますか?
― とらえ方の違いを説明すればいいんですか?
(弁)もちろんそうですよ、あなたの記憶と、A子さんの指示説明とはどこがどう違うん、こういう風にして欲しいとおしゃったはずです、あなたは何って言ったんですか?
― その時にどういう言葉を使ったかは覚えていませんが、私が事故を捉えておるのは、交差点に差しかかった時、気がついて危ないと思って右に逃げようとしてハンドルを切ったけれども間に合いませんでした、それは言いました。
(弁)わかりました、それが1つですね、では僕が聞きたいことを教えてくださいA子さんが横断歩道を渡っていたのではなくて、あなたの向かって左側から、坂道を道路の真ん中、交差点の真ん中あたりに向かって出てきたんだ、そういう説明を実況見分の際に警察官にしたという、こういう事実はないんですか?
― 私はそう捉えておりますので、そのように言った・・・
(弁)そうすると、あなたがそのような主張をなさっておられるのを聞いて被害者のご両親は目撃者捜しを始めたのかもわかりませんね。
― わかりません。
(弁)わからないんだ・・・撤回します。
さて、5月12日の実況見分以外の警察の取り調べの流れを今一度復習させて下さいよく思いだしておいて下さいよ。
事故当日の3月7日、当日に実況見分をやりましたね、事故後すぐに実況見分をしたんだったね。
― はい。
(弁)それから警察へ行って、警察官に調書を取ってもらいましたね。
― はい。
(弁)当日の実況見分調書や警察官に対する供述調書は、事故直後ですから、記憶通りに間違いなかった、こういうことでいいですか?
― 捉え方に一部、あやまっておればそれが全てかどうかは、今は確実には言えません正しく答えるつもりでは発言しておりますが・・・
(弁)結構です、当日は正しく答えるつもりできちんと話をしました、こういう事ですね。
― はい。
(弁)その後なんですが、2回目には5月12日の実況見分では、その時あなたの指示説明はなかったんだけれども、実況見分終了後に警察官の方からあなたの言ってること被害者の言ってることに食い違いがありますよと、その後にまた警察署に行って、供述調書を取ってもらった、こういう事でいいですか?
― はい。
(弁)そして最後に11月23日に検事さんの所で供述調書を取ってもらった、こういう理解でよろしいですね。
― はい。
(弁)あなたのこれらの指示説明なり供述調書なりを見ているとね、委託弁護士としては見逃せない供述の内容の変遷がありますので、その点を確認させて下さいよろしいですね、まず、第1番目、検察官請求証拠番号 甲9号証の実況見分調書の写しを示します。
これは添付の見取図です、これを見るとあなたの進行方向は、図面の右から左に行くとなるがいいですね。
― はい。
(弁)①②③があなたの車の進行方向を示している、いいですね。
― はい。
(弁)丸印中で×した所が衝突した所でいいですね。
― はい。
(弁)衝突しているのは横断歩道上になっているが、間違いないですか?
― タイヤ痕などからもそのような説明を受けて・・
(弁)横断歩道上にあなたの車のタイヤ痕もあるし、被害者の自転車のタイヤ痕もあったんでしたね、それでそこが事故現場じゃないかと、3月7日時点であなたは納得していたんですね。
― ここにありますと説明を受けた点は納得しました。
ここにタイヤ痕があり・・そうですね。
(弁)じゃあ、そこでぶつかったのは、あなたは違うと思っていたわけ?
― まあ、運転していまして、A子さんが確実に横断歩道上であったか、交差点の真ん中付近であったかは、認識して衝突するわけではありませんので。
(弁)わからない、結構です。
この指示説明部分を実況見分調書で見ると、まずね、進行した地点①と書いてあるね、交差点内をあなたが見た地点が②ですよ、それから危険を感じた地点が③ですね、そこでハンドルを右に切ってブレーキをかけた、その時に被害者の方は○の地点にいました、最終的に後被害者が○の所に来たところであなたの車と衝突しました、こういう筋書きですよね。
― はい。
(弁)これが、事故当日のあなたのお話なんです。
― はい。
(弁)これが、だんだん話が変わってきます。
検察官請求証拠番号 乙3号証 5月12日付け員面調書を示します。
あなたがどの程度のスピードで走行してきたのか①で50kmと書いていますね、さらに②地点を見ますと、減速をしながら交差点内を見た、最初にあなたに見てもらった事故当日の実況見分調書やあなたの供述調書の中身を見ると②地点は単に交差点内を見ただけなのに、いつの間にか減速したことになってるんですねどうしてこのような変遷、移り変わりがなされたのか、教えてください。
― ・・・
(弁)わからなければわからないで結構、時間がないんで。
― わかりません。
(弁)では、その次③地点の供述について見て行きますと、③地点の時左方道路ア地点で自転車に乗っている被害者に気がつきましたってなってますね、その上に、時速40km強で進行中のっていうのが付いてるんですよ。
いつの間にか③地点では時速40kmになってますね、先程あなたに押し示した乙2号証を見ましょう、これを見ると、時速50kmの速度で進行中にA子さんを見つけましたとなってますね。50kmがいつの間にか40kmになっている、どうしてこういう風に10kmも下がったか理由を教えて下さい。
― えっと、警察官の方に、そこは訂正部分があるということを時間の経過すぐに把握しきれていませんが、事故後どのくらいの速度が出ていたと思いますかと一番最初に聞かれた時に、こんな左方からの交通に気が付いて止まれないくらいだから、自分はもしかしたら50kmくらい出していたかもしれないと一番最初はそう思いました。
(弁)結構です、判りました、乙2号証、事故当日のあなたの考えたのはさっきから聞いているからわかりましたよ、そうではなくて、今お聞きしているのはあ5月12日の調書でなんで変わったのかを教えて下さいって言っている。
― 事故後何度も行きました、何故自分が止まれなかったのか、実際にどれくらい速度を出していたのかとか、自分でも記憶をたどりたくて、何故気が付けなかったとか、自分で事故現場に行きました、その時に速度も含めて自分はどれくらいで走っていたのかな、というふうな事をもう一度振返りまして、最初は50kmといいましたが、というふうな訂正は警察官の方に正直に言いました。
(弁)先程来ね、保険会社の話を出していますよね、この方が担当だよね、この方から事故直後から過失割合について聞いておられたの?
損害賠償における過失割合の考え方というものを聞いておられたか?聞いておられたかどうかだけを教えてください。
― このケースに関してですか?
(弁)もちろんこのケースですよ。
― このケースではこれがあたりますということですか?
(弁)いえいえそうではなくて、過失割合の時はどんな点が要素になるんですよと言う説明を当然受けているんでしょ。
― 受けていると思います。
(弁)一般的に、交通事故の損害賠償請求訴訟で、制限速度を15km以上オーバーしている場合と15kmオーバーしていない場合とでは過失割合が違うんだというのは、当然聞いているんでしょ。
― いえ、そこまでは聞いていません。
(弁)そこまでは聞いてなかったの?じゃあ、何聞いていたの?
本件事故現場は時速30kmですね。
時速50kmということになると20kmオーバーということで15kmを5kmオーバーすることになりますね、あなたが主張する40kmだと、10kmしかオーバーしていないことになって15kmオーバーにはなりませんね。
― はぁ。
(弁)そこで大きな違いがあることを保険屋さんに聞いていたんじゃないんですか。
― それは聞いていません。
(弁)それではもう一つ聞いてみましょう。
あなたの供述の変遷は結局は刑事責任を軽くしたいと思ってのことではありませんか?
― 今振り返ればそうとられるであろうという風には思います、その時も私は自分なりにもう一度事実を振返りたい、いう気持ちではありました。
(弁)そうですか、さて、もう一つ大事なことをお聞きするんですが、先程あなたは弁護人の質問に対して本件事故の原因はどこにありますか?
と聞かれて、あなたの前方不注視であるとか、漫然と車を進行させたためですと答えましたね。
― はい。
(弁)被害者にも落ち度があると考えたの?考えていないの?どっちですか?
― ・・・落ち度がある。
(弁)判らないんですか?
― といいますか。
(弁)6月30日に被害者宅に電話をした時には、被害者にも落ち度があると思っていたのではないのですか?
― 落ち度といいますか・・
(弁)思っていたかどうかだけ答えて下さい。
― 表現できません。
(弁)6月30日の時点で被害者にも落ち度があると思っていたかどうかを答えることが出来ないんですか?出来ないなら出来ないで結構ですよ。
― できません。
(弁)どうして出来ないんですか?
― ・・・
(裁判官)まあ、落ち度という言葉が言葉なんで・・
しかし、昨年の6月30日頃の状況でですよ、相手の過失割合がある、要するに100:0の事故じゃないでしょうよと、こういう認識はあったでしょう。
― 事故を考えた時にそれはありました。
(裁判官)事故を考えるも考えないも、要するにそうゆうものはあったということにはなるんですか?これは?
― はい。
(弁)それでね、あなたの事故対応についてお聞きするんだけれども、まず、衝突場所についてすら、あなたはいろんなご主張をされてますよね、客観的に見れば、横断歩道上で本件衝突事故が発生したのは明らかだというふうに誰もが思うんだと思うんだけれども。
あなたは5月12日の実況見分の際に警察官に対して、道路の真ん中あたりでぶつかったんだと、こういうふうな主張をしておられるわけでしょう。
― うん、そうですね。
(弁)そこの所が被害者委託弁護士には良く理解できないんですが、要はあなたの様々な事故直後の行動、つまり、救急車も警察も呼んでくれない、会社にはちゃっかり電話はしている、被害者の家族がどのような想いをするかということを躊躇することもなく、あなた自身の心配だという想いを満足させるために、被害者の両親に対して電話をかけ続ける、保険会社の担当者から、もう被害者には弁護士がついたからそちらを通じて交渉しますので被害者のお宅には電話をしないでくださいと言われておりながら、なおかつ6月30日のビラを発見すると激高して、夜の10時30分から夜中の午前0時まで、あなたのうっ憤を晴らすために電話をかけ続ける、あまりにも自己中心的でどこに反省が見えるんですか?
― ・・・
(弁)そのような過程の中であなたの進行速度に関する供述が変遷していくのを見ると、さしたる証拠もないあなた自身の刑責を軽くするために供述を変えているんだと思われてもしょうがないと思いませんか?
― 私はそういう意図でやったわけではありません。
(弁)そうですか、事故の結果が極めて重大だというのは判っていますか?A子さんは今どこにいるか、ご存知ですか?
― ○○の方に転院なさっていると聞きました。
(弁)それは随分前のことですよ。
― ○○の方に行かれて、○○の方で検査されていると聞きました。
(弁)そうですか、それは一部あっていますね。
(弁)あなたは先程来、反省反省と言っておられて、6月30日電話をした際は考え方が間違っていた、その後反省するに至ったとおっしゃってられるけど、いつ反省するようになったんですか?
あなたの考えている所では、真の意味でのあなたの反省はいつのことだったんですか?
― 事故直後です。
(裁判官)今の代理人の質問は、6月30日の状況では、1時間半にわたって電話して、いろいろあんた言ったわけじゃん、これは動かないわけでしょ、今にして思うとその時の自分の対応は間違っていたと思う、こう思うと6月30日から今までの間のどの段階でいつごろ認識を改めるようになったのかという質問。
― 電話した時は感情的になってましたので、その後、加害者被害者の考え方を保険会社から聞いた時には、自分も6月30日にやったこともやってはいけないことをしたと反省・・
(弁)だからいつなんですか?あなたが認識を改めたのは?
― 日付までは。
(裁判官)大体で。
― 30日が土曜日だったと思いますんで、月曜日でしょうか、保険会社はお休みなので
(弁)そうですか、しかし、それでも今回の正規裁判に至るまで、あなたは謝罪文すら出そうとしなかったね。
― はい。
(弁)どうしてですか?
― それは説明しました通り、何か私の方から・・・
(裁判官)代理人もうそれは。
(弁)以上で終わります。
(被害者委託弁護士による質問終了)
実録 交通事故刑事裁判 第2回公判パート4につづく