世の中には、交通事故を一度も起こしたことがない、または一度も交通事故に遭ったことがないという人もいることだろう。
ある日突然交通事故に遭遇すると、何をどうして良いのか、どうなってゆくのかという不安に駆られるかもしれない。
いざという時のために、交通事故に遭遇した時に困らないための知識を持っておこう。
交通事故を起こしたときにすべき3つのこと
交通事故を起こした時に最低限やらないといけないことはこの3つである。
- けが人がいれば救急車を呼ぶ。
- 警察に通報する。
- 任意保険の会社に電話する。
その他、スマホなどで事故の状況をいろんな角度から写真を撮っておくことや、目撃者の連絡先を聞いておくことは事故の早期解決にも繋がる。
物損事故の流れ
警察によりその事故が物損事故であるか人身事故であるかという切り分けが行われ、人に被害が無ければ物損事故として処理される。
警察官により現場検証が行われ事故の状況がまとめられるが、信号無視など道路交通法違反が無い事故においては、「行政責任」や「刑事責任」を追求されることもない。
後日、事故証明書が発行され警察の民事不介入の原則により、警察の仕事は終わりである。
その後は民事事件として相手側と示談交渉をすることになるが、車両が示談交渉付きの保険であれば、保険会社が代わりに示談交渉を行ってくれるので直接相手と交渉することはない。
しかし、軽微な物損事故であったとしても、1週間ほどの猶予のうちに怪我の診断書が提出されると人身事故に切り替わることになる。
損害の立証責任は被害者側にある
双方が任意保険に入っていれば事故の当事者が直接話をすることはなく、保険会社同士が話し合ってくれるだろう。
保険会社がこれまでの交通事故の判例により双方の基本過失割合を求め、過失要素修正を行って最終的な過失割合を算定する。
事故の原因が相手側にあるとして過失割合を争う場合、相手側の故意や過失を立証しなければならない。
これで折り合いがつけば物損事故の処理は終了となり双方の損害費用が過失割合をもとに支払われることになる。
過失割合の折り合いがつかない場合は、民事裁判へ移行することもある。
人身事故の流れ
人が怪我をしていれば、その事故は人身事故として処理される。
警察により現場検証が行われ事故の状況がまとめられる。
「怪我をした方が被害者、怪我をさせた方が加害者」という扱いになり、加害者は「行政責任」と「刑事責任」と「民事賠償責任」の3つの責任を問われることになる。
車両が示談交渉付きの任意保険に入っていれば事故の当事者同士で話すこともなく、保険会社が示談交渉を行ってくれる。通常、怪我の治療費などは相手保険会社が立て替えてくれるので心配することはないだろう。
大きい人身事故ほど保険会社ともめる
これまでの交通事故の判例により双方の基本過失割合を求め、過失要素修正を行って最終的な過失割合を算定するのは物損事故と同じだ。
被害者である場合、相手の保険会社はできるだけ早く示談交渉に入ろうとするが、怪我の回復まで示談交渉を焦ってはいけない。
事故の原因が相手側にあるとして過失割合を争う場合、相手側の故意や過失を立証しなければならないのも物損事故と同様である。
加害者側に誠意が見られず、治療費などの支払いがなかなか行われないなど場合、被害者は警察署長や検察官宛てに上申書を提出して厳しい処分をお願いすることができることも知っておいた方が良い。
示談交渉で折り合いがつけば、人身事故の処理は終了となり損害費用が過失割合をもとに支払われることになる。
過失割合の折り合いがつかない場合は、民事裁判へ移行することもある。
物損事故&人身事故の流れ
物損と人身の両方の要素がある事故については、上記の物損事故の流れと人身事故の流れを合わせたものになる。
同一事故でも物損事故と人身事故の過失割合は違う
物損事故&人身事故の場合、相手保険会社との示談交渉は物損担当者と人身担当者に分かれてそれぞれが進行する。
同一事故であっても物損部分と人身部分の過失割合は異なる場合があることは知らない人も多いだろう。
無保険車との事故は裁判を覚悟する
任意保険に入っていない車は結構いる。
人身事故の場合は、まずは自賠責保険から支払われることになるが、入院や手術を伴う怪我になると自賠責保険の範囲を超えてしまう。また、物損事故は自賠責保険では補償してくれない。このような場合は任意保険で補償することになる。
事故相手が任意保険に入っていない場合は、僅かな損害であっても補償してもらえない可能性があるので裁判を覚悟しなければならない。
なぜなら、損害を補償できるお金があれば任意保険に入れるからである。お金がない相手から示談交渉で損害を補償してもらうのは至難の業だ。
無保険車でも困らないように、任意保険のオプションである「弁護士特約」は付けておきたいところだ。
相手が損害を補償してくれない場合は、弁護士が正式裁判を提起してくれるだろう。
物損事故の場合に認められる損害賠償の範囲
物損事故では、原則として慰謝料請求が認められない。
車両の破損に関する損害
修理費
破損した車両に対する修理費用。ただし、際限なく認められるわけではなく、必要性及び相当性の認められる範囲内に限られる。
全損の場合
全損には、物理的全損と経済的全損の2種類がある。
物理的全損とは、車両の損傷の程度が酷く、修理が不可能な場合。
経済的全損とは、物理的には修理が可能であるが、修理にかかる費用が車両の時価額(消費税を含む)に買替諸費用を加えた金額を上回る場合。
全損の場合には、原則として、車両の時価額が賠償額として認められる。場合によっては、時価額に買換諸費用を上乗せした額が認められることもある。
評価損
修理を施しても、外観や機能に欠陥が生じたり、事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められることがある。しかしながら、裁判例上全ての被害車両に評価損が認められているわけではなく、その多くは被害車両が高級車かつ比較的新しい車両である場合である。具体的には、外国車又は高級国産車の場合は、登録後5年以内かつ走行距離6万キロメートル以内、国産車の場合は、登録後3年以内かつ走行距離4万キロメートル以内がおおよその基準となる。認められる額としては、修理代の10%から30%程度であることが多い。
代車使用料
相当な修理期間又は買替期間中に、レンタカー等の代車を使用した場合に認められる。ただし、代車を使用すれば必ずその分の使用料の賠償が常に認められるわけではなく、代車の必要性、代車の種類、代車の認められる期間については注意が必要である。
代車の必要性
被害車両を営業に使用していたり、通勤に使用していて他に合理的な代替手段が無いといった場合には認められやすい。これに対し、被害者が被害車両の他に3台の自動車を所有していた事案において、代車使用の必要性を認めなかった判例がある。
代車の種類
破損した車両と同じ車種の車両を代車として認められるわけではない。たとえば、外国車は国産高級車で十分に代替できると考えられる。
代車の認められる期間
外国車等の特殊な車両で、部品の取り寄せに時間がかかる等の特別の事情が無い限り、通常は1~2週間、長くても1か月程度であることが一般的である。
休車損害
被害車両が営業車(緑ナンバー等)であって、相当な修理期間又は買替期間中に、被害車両を使用することができないため営業損害が発生した場合に休車損害が認められることがある。
休車損害が認められるためには、実際に営業損害が発生していることと、被害車両の代替となる遊休車が存在しないことが必要。
その他
レッカー代、被害車両の保管料、時価査定料・見積費用、廃車費用等が認められることがある。
人身事故の場合に認められる損害賠償の範囲
積極損害
入院費用、通院費用、治療費などが認められる。
消極損害
事故の怪我により仕事を休まなければならなくなった時の休業補償を請求できる。
慰謝料
精神的・肉体的苦痛に対する損害に対して慰謝料を請求できる。
ドライブレコーダーは事故解決の必須アイテム
交通事故の様子を見ることができるのがドライブレコーダーだ。
ドライブレコーダーがあまり普及していない時期は高額な商品だったが、最近では、あおり運転による死亡事故の影響をうけてドライブレコーダーを車につける人が増えたことから、数千円で高性能のドライブレコーダーが手に入るようになった。
編集が可能であるデジタル媒体が裁判で証拠として認められるかどうかは別にして、映像は交通事故に遭遇した時に示談交渉で威力を発揮することは間違いない。
しかし、自分の不利な点もバッチリ映ることになるので気をつけないといけないが、きっとドライブレコーダーを付ければ運転が慎重になり安全運転にも役に立つことだろう。
最近はデュアルカメラ(後方カメラを付けることができるタイプ)が多いが、後方カメラは付けるのがひと手間かかるので、安価なドライブレコーダーを前後に2つ付けるのも良い。
まとめ
「ドライブレコーダーは、広角でありナンバープレートや信号もはっきりと映る高画質のものを選ぶとよい。」