File3 保険会社との示談交渉ではどのように進めるべきか

前回の「交通事故での責任が重くなってしまう事故後の悪い対応」では、加害者の取るべき行動を考えた。

前回は、物損事故で現場での加害者とのやり取りと、警察への事故届の様子を書いた。軽微な物損事故から当て...

今回は保険会社との示談交渉でどのようにすれば良いのかを被害者の立場から見てみたい。

相手の保険会社は、ラッキーなことに私も契約している保険会社だった。でも、今回の事故では10:0は明らかなので、こちらの保険を使う必要はないので事故報告は上げていない。

保険会社はネット保険会社ではない。業界シェア1位の保険会社である。

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保険会社の相手担当者からの電話

保険 「〇〇さま担当の〇〇でございます。この度の事故でお怪我はありませんでしたか。」

  「今のところは大丈夫です。」

保険 「事故の状況についてドライブレコーダーの動画があると聞いておりますが。」

  「ドライブレコーダーの動画はありますが、世の中全ての車にドライブレコーダーが付いているわけではありません。ドライブレコーダありきの話をされては困りますね。現状で今回の事故についてはどういう認識をもたれているのですか。」

保険 「〇〇さまがバックしている時に接触した事故と聞いております。」

やはり、予想どおりだ。加害者が言う主張を事故の内容として保険代理店が報告しているのだ。

契約者さまのご意向が全てです

  「少しニュアンスが違うように感じます。実際の事故は、加害者が一方的に後進してぶつかった事故だと思います。」

保険 「契約者さまがそう言われておりますので、それは、ドライブレコーダーの動画で確認させて頂くことは可能でしょうか。」

  「可能ですが、今の段階では一方的な事故という認識がないという事ですね。」

保険 「そうですね。契約者さまの意向に沿うことが私の仕事ですので。」

  「で、契約者は何と言っていますか?」

保険 「10:0ではないという認識です。」

  「それは、私の方にも非があるということが言いたいのですね。」

保険 「当日は雨も降っていましたし、回避できる要素があったのではないかと。」

  「当日は雨は降っていませんね。そして、前後左右、回避できる状況にはありませんでしたし、警笛を鳴らして教えました。代理店も含めて、事実と違ったことを言われているのではないですか。」

保険 「その内容を検証するためにも、動画の開示をお願いしたいのですが。」

  「動画はあります。でも、私にも非があるという認識なのですね。わかりました。動画を見てから判断してください。私は停止しており、私の方の過失は0ですよ。」

保険 「その確認をさせていただきたいと思います。あくまで契約者が言われる内容で話しをさせていただくことが私の立場です。契約者さまの意向でありますので。」

あまりいにも「契約者の意向」がすべてのような言い方をされるので、少し突っ込んでみた。

事故の過失は私にもあるという認識

  「私もお宅の保険会社の契約者なのですが、それは考慮されないのですね。」

保険 「契約者さまの同意がないと、保険も使うことができませんので。」

  「わかりました。ではドライブレコーダーの動画をお送りしますので、保険会社としてどのような事故であったかを判断してもらえますか?」

保険 「契約者さまは、そちらにも過失があるのではないかと言われています。」

  「過失が無いことは動画で確認済です。動画を確認しないと判らないと言われることについては心外ですが、動画ファイルをお送りします。公正な立場での検証をお願いします。保険会社は公正な立場で示談交渉を行わないのですか。」

保険 「過失割合についても契約者の意向が重視されます。」

  「契約者の意向以外は聞いてくれないということですね。」

保険 「そうです。私は〇〇さんの担当になりますので。」

話は堂々巡りになってしまう。動画が無ければ加害者の主張により示談を進めるという事だ。

  「わかりました、動画をお送りしますので見てください。」

ドライブレコーダーの動画を開示する

そして、動画を送る。

保険 「動画を送って頂き、ありがとうございます。内容について代理店と共に検証しております。」

  「一目瞭然だとおもいますが、どうですか。」

保険 「〇〇さまに確認しております。〇〇さまの意向に沿う必要がありますので。」

もうちょっと、深く強くつっこんでみる。

  「動画で残って入ることがすべてなので、意向も何もないと思いますが。」

保険 「少し認識のずれがありますので、代理店と調整しております。」

  「この動画を見て、調整が必要と言われる代理店は事故処理の素人なのですか。代理店は、加害者と利害関係にある人物かもしれません。保険会社としての見解を教えてください。」

保険 「代理店と契約者の意向もあるので保険会社の見解は申し上げられません。」

  「わかりました。それでは、この動画を見てあなたは個人でどう思われますか。」

保険 「代理店と保険会社の認識は違うと思っています。」

  「具体的に言うと、保険会社は10:0、代理店はこちらにも過失があるという事でしょうか。」

保険 「そのような状態になります。」

  「私も保険会社の契約者ですので、先方の言い分をはっきりと言ってもらえませんか?」

保険 「それは、契約者の意向がありますので今申し上げることはできません。」

  「契約者の意向ですか。」

保険 「そうです。」

  「具体的に言うと、例えば契約者が9:1と主張した場合、納得できなければ裁判でもどうぞということですか?」

保険 「そういうことになります。」

  「わかりました。そう言われるのであれば、私も他の手段を考えます。」

私も事故報告を上げ相手と同じ立場に立つ

結局、この日は契約者の意向ばかり言われ、とても腹立たしい気持ちであった。こちら被害者の主張は聞く耳持たずという感じだ。

契約者の意向とばかり言われるのであれば、私も同じ土俵に立たねばなるまい。

保険会社との電話を終えると同時に、保険会社へ事故報告し、こちらの担当者をつけてくれるように依頼する。

保険会社の私の担当者からの電話

翌日、同じ保険会社の私の担当者から電話がかかる。

契約者さまのご意向が全てです

  「私も契約者です。今回の事故は明らかに10:0の事故です。相手の担当者には私も保険会社の契約者である旨を説明したが、それでも相手の意向とばかり言われるので、私も同じ土俵に上がらなければ保険会社は話を聞く気はないのだろうと思い事故報告を上げた。当方は10:0以外は考えていない。それで相手が納得しないのであれば、裁判を起こすことはやぶさかではない。」

保険 「昨日は、御社も契約者さまと言われているにも関わらず、大変な失礼な対応を致しました。」

  「そうですね、いくら言ってもだめなので、事故報告を上げました。だから、これで相手と同じ立場になりましたね。私の担当として今回の事故はどう思っていますか?」

保険 「まだ動画を見ておりませんが、10:0で相手が悪い事故と考えております。」

  「そうでしょう。この事故を10:0の事故で納得できないのであれば、裁判にすることを相手に伝えてください。まあ、相手にとっては0.1%も勝ち目はないと思いますが。」

保険 「わかりました。契約者さまのご意向ですので10:0で納得して頂けるようにお話します。」

保険会社もこちらも契約者であることがわかったら態度が豹変する。

加害者を黙らせる状況は揃った

  「私は10:0で間違いない事故だと思ったため、契約者であることを言っていなかった。事故を適正に判断し過失割合を算定することが保険会社の使命であり、何もかも契約者の意向で進めることが正義ではないはずです。第3者である保険会社として正当な判断が行えないことには失望しています。契約者でもおかしいことを言っていても、おかしいとも言えないのですか。」

保険 「今後の社内研修で内容を上げさせて頂きたいと思います。」

  「本来保険は被害者救済のためにあるもの、加害者や保険代理店が言うことだけを正しいと進めるのは如何なものでしょうか?今回は同じ保険会社であったが、保険会社が違う時も同様だと思います。代理店は利害関係にあるかもしれないので、保険会社が正義感を持ってしっかりとした対応をしなければならないのではないでしょうか。」

保険 「言われる通りだと思います。」

人身事故への切り替えも視野に入れる

  「また、今回の事案は当て逃げ扱いとなっています。そして診断書は既に取得しています。しかし、そこまではするまいと我慢をしていたのですが、加害者および保険会社の交渉内容を考えると、今後は人身事故にすることも考えています。そうすれば、ひき逃げ扱いとなるでしょう。結果として、相手の契約者が罪が重くなるがその認識はありますか?その場合は、自分たちの対応が被害者を考慮した対応をしなかったということを肝に銘じてほしいですね。そして、どのような対応を行ったかを振り返って欲しいと思います。また、私は契約者として他の保険会社と示談する場合にも被害者に対する配慮を希望します。」

保険 「言われる通りでございます。社内で検討致します。申し訳ございません。」

  「これから言う内容は、物損の割合が解決するまで相手にはオフレコでお願いしたいのですが。」

保険 「はい、〇〇さまの担当ですのでご意向に沿うように致します。」

  「私は、昨日の保険会社からの電話を含め堪忍袋の緒が切れました。物損事故が10:0となった後に、人身事故の手続きを進めることにします。」

保険 「その場合、相手が人身部分については支払わないと言われる可能性もあります。」

  「それでも良いですよ。しかし、その場合は相手に説明して下さい。ひき逃げ事案として、私が人身事故の調書で寛大な処置をお願いするか、厳罰を求めるか。さらには人身事故として示談が終わっていない場合、刑事罰の厳罰を求める上申書を警察と検察に提出することも視野に入れています。それでも治療費を払わないで民事裁判にもして欲しいのか。これらは、加害者の対応次第であるということをしっかりと伝えて欲しいですね。どちらが良いかという事は常識的に考えて明白だとは思いますが。」

保険 「わかりました。その時に相手にはそのように伝えます。」

これで、完全に形勢逆転。

今日の学び

「事故が発生したことや、損害を被ったこと、事故と損害との間に因果関係があることの証明責任は被害者にある。」

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