水泳クラブでの選手強化のポイントは感覚と可視化だ

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南国気分

水泳コーチは「泳ぐことで感覚を身に着ける」と言うが、今の時代、感覚だけに頼らずもっと効率的に数値化しながら練習する方法もある。

選手コースでは、日々の練習でコーチから泳法のアドバイスをもらえることは少ない。毎日のメニューは異なるが、距離を泳ぐことが主体になり、その中で自分の感覚だけをたよりに自主的にフォームを改善することを求められる。

メニューありきの水泳クラブ選手コースの練習

アップから始まり、50m何本、パドルを付けて何本、フィンを付けて何本、ビート版を使ったバタ足の練習を何本、ビート版を使った手だけの練習を何本、時にはメドレーなどの練習が繰り返される。

それぞれの部位を強化することや、持久力を付けるということは重要だ。泳ぎこまないとそれらが期待できないことはわかる。しかし、そうやって泳いでいればいくらでも早くなるのかというとそうではない。

毎日々距離を泳ぐことで少しづつは早くなるだろうが、50m30秒程のタイムになると伸び悩む時期がやってくる、30秒の壁だ。

本科生の時には毎日のようにフォームを教えられる。しかし、それを頭と体で理解できてくる時期は、神経回路が成長する時期であり、ある程度の泳ぎができる頃になってからだ。

フォームが完成されていない状態で泳ぎこんでも、フォームを変えれば、またそのフォームが定着するまで泳ぎこまなければならない。それまではタイムが落ちることもある。

選手コースにもなるとフォームの改善は先送りにされ、距離を泳がなくてはならない。その頃になると、フォームには自己流のくせがついてしまっている。

速く泳ぐうえで目指すべきことは、初心に戻りフォームを改善して、水中の抵抗力を減らすことと推進力を高めることだ。

科学的なトレーニングを取り入れて可視化する

選手コースでは、コーチがプールサイドに立ち、ストップウォッチを持って選手のタイムを計る。これは昔ながらのトレーニング風景だ。

科学的なトレーニングを導入している水泳クラブはほとんどないのではないだろうか。

練習メニューで、何をどうしていくのかはコーチのみが知る。すべてコーチの経験と勘だけが頼りなのだ。しかし、コーチだけが勘で理解できていても意味がない。

選手コースにいる選手たちが自分のステータスを把握でき、考えることができる、そんなシステムが必要だと思う。

日本では自分で学び成長することが当たり前

水泳クラブのシステムを見ると、技術を他人から盗め、感覚で覚えろ、辛くても泳げという根性練習を感じてしまう。インフラが良くなっても教え方は昔から変わっていない。

コンピュータ社会の今、泳ぎの数値化や可視化できるシステムはトップレベルの選手は既に練習に取り入れている。今の時代、そのようなシステムを練習に導入することなどたやすいことだ。

しかし、コーチ自身がその時代に合ったツールを使う知識が乏しいことと、コーチ自身が高いレベルを経験したことがなく先人のやり方のとおりにしているというのが現状ではないのか。

コンピュータを駆使した弱点克服システム

代表強化選手ならずとも、選手のみんなが科学的なトレーニングを受けられる環境が欲しい。

例えばだが、水中スピーカーでピッチ音を流して練習しピッチを体に叩き込む、常時ビデオ撮影し、水上と水中から個々のフォームを確認できるシステムなどが考えられる。そんな試みをする水泳クラブが増えて欲しい。

どこの水泳クラブにおいてもコンピュータを駆使した弱点克服システムが導入されるのはいつの時代になるのだろうか。練習メニューと距離を泳ぐだけの育成システムがコンピュータを活用した数値化されたデータをフィードバックする育成システムに置き換わって欲しいと願う。

選手たちは、自分のどこが足りないのかは感覚ではわかっている。しかし、具体的なデータは示されないまま、反復練習の中で、感覚を頼りに手探りで改善することを求められるのでは時間がかかりすぎる。

スタート、ターン、ピッチ、スクロールレート、スクロール数、水を押す力の大きさ、失速率など、経験や見た目や感覚だけではなく、いろいろなデータを元に泳法を改善していくシステムを取り入れて欲しい。

まとめ

「科学的トレーニングを早い時期から行うことで選手の質が向上する。」

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