大企業で20年間サラリーマンとして働いていたA君が、脱サラによりクレジットスコアが低下し、一般クレジットカードしか取得できなくなった経験と、インビテーションにより、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードのステータスカードを取得してステータスが回復するまでの道のりである。
クレジットカードは使わないと信用が作れない
所有するクレジットカードは1枚
A君がサラリーマン時代に所有していたクレジットカードは、JCB法人ゴールドカード(コーポレートカード)の1枚だけだった。
会社で募集していたから申し込んだらすぐに審査が通ったんだ。その時代はゴールドカードを持っているだけで一目置かれる時代だったからね。
どういう時にクレジットカードを使っていたの?
クレジットカードは基本使わないよ、大きな買い物の時に分割払いで使うものだと思っていたからね。
それじゃあ、クレジットカードを持っていても普段の生活では現金払いだよね?当然、ショッピング枠も少ないよね?
そうだね、取得した時から増えなかったから、1か月の給料くらいだったかな?
ショッピング枠が全然足りない
そんなA君は、ある時クーラー、冷蔵庫、テレビ、電子レンジの家電が次々に壊れてしまう。
こういう時こそクレジットカードが役に立つと思ったんだ。
それは役に立ったでしょ?
それがね、クレジットカードを利用しようとしたけど、家電の見積金額はクレジットカードのショッピング枠をはるかにオーバーしていたんだ。そこで、カード会社へ電話して一時増額してもらおうとしたけど、利用実績がないため増枠はかなわかったよ。だから、仕方なくATMで現金を2回に分けて下ろして支払ったんだ。少し間でも多額の現金を持ち歩くのは、なんか気持ちが悪かったな。
クレジットカードは使わないと信用が上がっていかないよ。信用が上がればいざという時にも困らないくらいショッピング枠も大きくなってゆく。そして、その信用履歴は車や家を買ってローンを組んだりするときに良い影響を与えることもあるのよ。
なるほどそうだね。クレジットカードは、ある程度のショッピング枠がないと使いたい時に使えないことがあるってことを身をもって体験したよ。ショッピング枠を増やすには日頃の利用実績を積むことが必要だってことを感じたんだ。
この時A君は初めてクレジットカードのしくみと使い方を理解したのだった。
脱サラ後にクレジットカードを見直すことに
その後間もなく、A君は脱サラして法人を設立して退職してしまう。サラリーマン時代に取得したゴールドコーポレートカードは、退職により会社への返却を余儀なくされた。コーポレートカードは分割払いの手数料が会社負担になるクレジットカードだったのだ。
クレジットカードが1枚もなくなった
退職と同時に1枚もクレジットカードがなくなってしまったの?退職までに個人カードを作ることは考えなかったんだ。
そうなんだ。持っていたのがゴールドカードだったから、そのうち使って信用を高めて、ショッピング枠も増やしてもらおうと思っていたんだよ。でも、個人カードではなくて会社の貸与カードだったことは、退職時に「返却して下さい」と言われて初めて知ったよ。
クレジットカードが1枚もなくなったら、電子マネーも使えないし困るでしょ。
そうだね。1枚もないとなるといざという時に困るよね。
作ろうと思ったクレジットカードは、法人用と個人用のクレジットカードの2種類だよ。法人設立の機会に、「公私をはっきり分けること」と「月々の利用額が把握しやすいよう」にクレジットカードを活用しようと思ったんだ。クレジットカードだったら、毎月の明細で何にいくら使ったのかがわかるからね。そして、インターネットで安く購入するにはクレジットカードがないと不便だしね。交際費の支払いもクレジットカードの方がスマートだし。これからは電子マネーがどんどん活性化してくるからクレジットカードがビジネスや個人にも必要不可欠だと思ってね。
欲しい時にクレジットカードは作れない現実
個人向けクレジットカード
A君は、初めからショッピング枠が大きいゴールドカードの取得を目標にすえた。
その時期、地銀のクレジット機能付きキャッシュカードが提供されたので、地銀提携のJCBのゴールドクレジットカード機能付きのキャッシュカードを申し込むことにする。
退職するまでJCBのコーポレートカードを持っていたのでJCBでの履歴があり、個人でも簡単に取得できると思ったという。
A君の毎月の収入は、脱サラした後も変わっていない。ステータスが変化したのは、大企業から創業したばかりの弱小企業に所属していることだ。
しかし、地銀から送られてきた手紙は、
この度はご希望に沿う事ができませんでした。一般カードの機能付きのキャッシュカードを発行させて頂きます。
という内容だった。
簡潔に言うと、
あなたが今持つことができるのは一般カードです。
ということだ。
この現代版不幸の手紙はいつもらっても激しく落ち込むものだ。A君の落ち込みも半端ない。
しかし、往生際が悪いA君は、
審査に落ちたのは、きっと地銀だったからだろう。
と安易に考え、プロパーのJCBゴールドカードを申し込んだ。
この度はご希望に沿う事ができませんでした。悪しからずご了承頂けますよう。
完全に玉砕、もうゴールドカードが持てないのだ。そしてまた激しく落ち込む。
クレジットカードを使っていなかったためクレジットヒストリーが無いことに合わせて、脱サラによる信用力の低下、持っていたカードがコーポレートカードであったことから、個人のゴールドカード保持の実績にならず一般カードが相応と判断されたのだろう。
せめて会社に在籍中にコーポレートカードではない個人カードを作っておくべきだったのだ。
法人向けクレジットカード
経費をクレジットカードで清算するためには法人カードが便利だ。個人のクレジットカードを経費利用することには規定上問題があるが、法人カードであれば経費で堂々と使える。
しかし、法人カードは法人格があれば簡単に作れるというものではなく、設立3年以上でないと取得が難しいカードである。当然A君は、JCB法人一般カードを申し込んだのだが、設立間もなくでは取得することはできなかった。
この度はご希望に沿う事ができませんでした。悪しからずご了承頂けますよう。
また不幸の手紙がやってきた。何回もこの文章を見ると気が滅入ってしまう。
今回は残念でした。次回また挑戦してみてください。
みたいな文言だと、「よし!次にまたチャレンジしよう!」という気になるのだが。
A君はなんとか半年間、クレジットカードの申し込みを我慢し、ついに車両リースの実績からディーラー提携の法人一般カードを取得することができた。しかし、ディーラー提携の法人カードもショッピング枠が大きいゴールドカードで申請したのだが手元に来たカードは一般カードだった。結局は経費を精算しようにもショッピング枠が少ないため、現金精算を併用するしかなかった。
ステータスを取り戻す
A君はサラリーマンの時はゴールドカードホルダーであったが、今手元にあるクレジットカードは一般カードばかりになってしまった。ゴールドカードはA君個人の信用ではなく、在籍している会社の信用で持ていただけだったということに気がつく。今のA君は少ししか信用してくれないのだ。
これらの出来事から、個人の信用力を証明するもののひとつがクレジットカードであるということを実感し、新たに個人の信用力の証明となるクレジットカードを得たいと思ったという。
クレジットカード取得のための具体的なプラン
これからのクレジットカードライフに向けての方針を具体的に考える。
- ゴールド、プラチナとランクアップできる一般クレジットカードを選びアップグレードさせる。
- 決済はクレジットカードに集中させるが一括払いでしか利用しない。
- 電子マネーを使いキャッシュレスの生活を行うことでクレジットカードの接触頻度を上げる。
- 目標として3年後にはゴールドカードが欲しいが、自分から申し込むことはしない。
- クレジットカードの利用実績を作ってインビテーションが来るのをただ待つ。
- ショッピング枠は最低100万円は欲しい。
- キャッシング枠は借り入れと同じことになるので0円に設定する。
- リボ払いは使わない設定にする。
- 所持するクレジットカードの枚数は3枚にする。
取得を目指すクレジットカードはプロパーカード
クレジットカードは、取得が比較的容易な提携クレジットカードではなく、高い信用力が必要であるプロパーカードに決めた。まず現状のステータスで取得できるクレジットカードを選ぶ。
個人カード
選んだクレジットカードはこのカードだ。
信用力が高まりステップアップすると、ゴールドカードが取得できる。
- VISA一般カード
- JCB一般カード
法人カード
JCB法人一般カード申込と同時にディーラー提携の法人一般カードは解約した。ディーラー提携の法人一般カードの月々の経費利用実績でJCB法人一般カードは取得できた。
JCB法人カードはJCB法人ゴールドカードにステップアップできる。
- JCB法人一般カード
ゴールドカードのインビテーション
A君は方針どおり、それまでの現金払いはやめてクレジットカードの一括払いのみを利用し、キャッシュレスの生活を送ることを心がけた。また、法人も経費にはクレジットカードを利用した。
すると、3年目でJCBゴールドカード、JCB法人ゴールドカードとVISAゴールドカードのインビテーションが届いた。
会社を退職してから3年、A君はゴールドカードホルダーに戻ることができたのだが、退職後に一般クレジットカードしか作れなくなったこともあり、サラリーマン時代より上のステータスカードを取得したいと思うようになった。
プラチナカードのインビテーション
ゴールドカードの次はプラチナカードの取得だ。しかしA君は時間がかかろうとも決して無理な使い方はせず、今まで通りクレジットカード一括払いの利用でキャッシュレス生活を続けることにした。
そして、ゴールドカード取得から2年経過したある日。
VISAプラチナカードのインビテーションと、JCB法人プラチナカードのインビテーションがやって来た。
だが調べたところ、JCB THE CLASSのインビテーションを貰うにはあと何年かかるかわからないことがわかる。JCB THE CLASSだけは当初の方針を変えて突撃と呼ばれる方法を選んだ。
JCB一般カードから利用実績を積んでいたおかげで、JCB THE CLASSはインビテーションを待たないで取得することができた。
A君は退職時の屈辱から2枚のプラチナカードと1枚のブラックカードを取得するまでにかかった時間は5年。毎月の生活費にクレジットカードを利用して、返済していれば約5年で取得できるということだ。
更なる飛躍 ANAカードでマイルをためる
インビテーションをひたすら待つ長い5年だったが、全ての目標が達成できたら更に取得が難しいと言われるクレジットカードの取得に挑戦してみたくなった。
取得を目指すクレジットカードはANAダイナースクラブカードに決めた。
ANAダイナースクラブカードの魅力は、個人カードと一緒にビジネスアカウントカードも取得できるので経費精算に使えることだ。しかも「利用に制限はなく」「ポイントも永久に消えない」「ショッピングでマイルもたまる」というクレジットカードだ。
早速インターネットからANAダイナースクラブカードを申し込むことにした。
ダイナースクラブカードは外資系のカードで、申込にあたって前職情報などを入力しないといけなかったのでびっくりしたが、そこまで見てもらえるならと取得できるかもと期待した。
ANAダイナースクラブカードはANAが審査して発行するのだが、ANAマイレージカードを持っていたのが幸いしたのか無事に取得することができた。
ANAダイナースプレミアムのインビテーション
ANAダイナースクラブカードの上位はANAダイナースプレミアムだ。
ANAダイナースプレミアムのインビテーションを待たずにデスクに問い合わせをすることで入手できたとの情報があったが、インビテーションをただひたすら待つことにした。
ANAダイナースカードを取得して4年目、ついにANAダイナースプレミアムのインビテーションがやって来た。
インビテーションの時期が、ANAダイナースカードの年会費を支払ったばかりだったので、ANAダイナースプレミアムに切換えるとまた年会費を支払わないといけないのかデスクに問い合わせたところ、月割りでANAダイナースカードの年会費を精算し、ANAダイナースプレミアムの年会費も月割りになるとのことだった。
さらに「このお電話で切換えが可能です。」と案内されたので、「お願いします。」との一言でプレミアムカードへの切替え手続きが完了した。
社会的信用力を客観的に証明できることは重要
ゴールド3年、プラチナ2年、ブラック4年で通算9年、サラリーマンを辞めて取得できるクレジットカードが一般カードしかなくなったことから始まった彼のクレジットカードマニアへの道だった。毎月の決済額が大きければ取得までの期間は短縮されるであろう。
失ってしまった社会的信用を新たに証明しようとして意地になったステータスクレジットカード取得の道だが、サラリーマン時代以上にステータスを高めることができたことは単に自己満足である。
しかし、海外ではクレジットカードは信用の証として定着しており、クレジットスコアがローン審査などの人生を左右するほどだ。これからの日本も2020オリンピックに向けてクレジットカード社会が怒涛のごとく押し寄せ、日本もクレジットスコアが重要視される時代に突入してゆくに違いない。
人は社会的信用力相応のクレジットカードしか持つことが出来ない。しかし、その信用とはお金をいっぱい持っているというものではない、定期収入があり、計画的に利用して、必ず返済する、ということができる人かどうかということだ。
そして、クレジットカードはステータスが安定している時にしか作れない。自身のステータスが変化してしまうと、手に入れたかったクレジットカードを持つことができなくなるかもしれない。
まとめ
「クレジットカードの取得にチャレンジできるのはステータスが安定している時だけだ、それは今かもしれない。」