人間は嫌な事を忘れることができる動物である

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南国気分

本来人間の脳は忘れやすい。でも、嬉しかったことや楽しかったことはすぐに忘れるのに、嫌なことだけは記憶に残るものだ。

嫌な記憶を忘れる方法

でも人間は自分に不要なものは忘れるように訓練できる。

方法は簡単だ。人間は同時に異なる感情を抱くことができないので、嫌な記憶が蘇ったら、すぐに楽しい記憶を思い起こせば良い。

それを繰り返していくと嫌な記憶が蘇ることが減ってゆき、いつの間にか思い出すこともなくなってゆく。

嫌であっても覚えておかなくてはいけない事実もあるかもしれないけれど、自分にとって負のエネルギーの記憶は忘れ去ることが一番である。

忘れたい記憶、それは2人の娘のことだった。

みのり
みのり

最近どうしてるの?娘さんは元気?

世間話のように何気に聞いた私は、余計なことを聞いてしまったと後で後悔することになる。

A子の家庭は裕福ではない。2人の娘が小さい時に離婚して母子家庭になり、女手一つでやっとの思いで成人まで育て上げた。元旦那からは養育費ももらわなかったらしい。

そんな母親の姿を見て育ったA子の娘はとても母親想いの優しい子であった。。となれば美談の話だが、A子の娘は真逆の人間だった。

親が自分たちのために使うお金で苦労しているのを見ても、そんなことは全然関係ない。

高校を卒業してバイトを初めた頃、

子供
子供

バイト代は自由に使わせて。就職したらきっと家計を助けるから。

と口では良いことを言うが、いつになっても家計を助けることはなかった。

それどころか、バイト代を遊びで使い果たすと、

子供
子供

これが欲しいの買って、次のバイト代でちゃんと返すから。

そして返済しないといけなくなると、

子供
子供

今月は厳しいから〇万貸しにしておいて。

と結局、無心し続けた。

いつしかその金額は70万を超えていた。

更には、遊びまわるお金が無くなると、A子の財布からこっそりお金を抜く。A子は、風呂から上がると自分の財布の中のお金が少しずつ減っていることを知っていた。

就職が決まると、

子供
子供

1人暮らしをするから貸しておいて、給料で返すから。

と保証金や家財道具の購入でかなりのお金を無心されたあげく、今では音信不通の絶縁状態だそうだ。

親子関係がなければ詐欺&窃盗である。

A子は、

だからもう思い出なんて全部ないよ。思い出になる物も全部捨てちゃった。

思い出なんていらない。

断捨離ってすごいね、効果てきめんだよね。

って笑う。

A子は、さらにこう続けた。

今は、もう自分が本当に娘を産んだのかさえもわからないんだ。私が確かに育てていたんだろうけど、思い出の品も何もないと顔すら思い出さなくなるものなんだね。

A子が、親だから当たり前に注いだ愛情も、必死に働いて育てていたことも知っている。親の財布からお金を盗ることや人を欺くこと、それはA子の元旦那が子供に教えたことだということも知っている。それでも親は無償の愛を与える。

普通は20歳にもなるとその有難さに気がつく歳であるが、人を欺いて生きてきた彼女の娘はそんな心は持たず、「親は利用するだけ利用すればいい。」という考えで生きている。

子供を育てる責任を果たしたA子が、これから先、すべてを忘れて自分の人生を新しく生きていくのも良いのではないだろうか?

もしかしてサイコパス

私には年老いた親がいる。でも、昔から親に経済的な負担はかけないように頑張ってきた。

何歳になっても怒られるし喧嘩もするけど、1日でも長く生きていてほしいと願っている。だから、成人まで育ててもらいながら親のことを考えない気持ちが理解できない。

A子の娘に会った事もあるが、私の理解を超えていた。

仕事の帰りが遅いA子が、

ご飯だけでも焚いといて。

と娘に頼むと、

子供
子供

家事ばかりをさせられて奴隷みたいな可哀想な私。

と周りにふれまわる。

子供
子供

カレー作ってみたい。

と言うので1回作らせたら、

子供
子供

毎日、毎日、夜ご飯を作らされている私は可哀そう。奴隷みたい。

と周りにふれまわる。

高校生になった頃は、深夜2時まで遊びまわる友達と、

子供
子供

私たちはニコイチ‼️なのに門限が9時で可哀想な私。

と周りにふれまわっていたような子。

A子が厳しく叱ると駆け込む先は決まって祖父母の家。

ウソ泣きをしながら「お母さんにいじめられて可哀そうな孫」を演じきる。

本当のことを知らない祖父母は、

おじいさん
おじいさん

そんなにひどいのなら、おじいさんの家に居ればいい。

と言って逃げ道を作る。

悪循環だ。

祖父母に家庭の事情を話さないA子はいつも悪者になるのだ。

彼女はそれでも黙って耐えていた。

でも、娘が不良にならずにすんだのはA子が厳しかったからだ。いくらA子が物事の考え方をいくら説明しても、娘はそれを理解できなかった。

歩むべき道を示してくれる人がいない今は、もしかして道を踏み外した生活を送っているのかもしれない。

20歳をすぎて家を出る時には、

子供
子供

親なんて、お金がいる間だけ一緒にいただけの存在。

お金なんて、親にいい顔をして出させればいい。

親はお金。

と言っていた。

きっと、物事の感じ方すべてが想像できないほど、A子とは違うのだろう。

こんな人間を世間では、「サイコパス」と言うのだろうか。

DNAの半分は他人のDNAである

そんな娘さんが、結婚して子供を産み育てた時に何を思うのだろう。もしかすると自分の過ちに気がつく日がくるのかもしれない。それともやはり何も感じないのだろうか。

みのり
みのり

A子の孫が生まれたらひょっこり連絡して来るかもよ〜

理だわぁ〜もう顔すら忘れてるし、きっと今すれ違ってもわからないわ〜、顔忘れてるのに声なんかもっとわからないわ~。愛情もない娘の産んだ子は孫じゃないよ、赤の他人。

そういえば、娘が祖父母にお金の無心に行ったみたい。

今では全ての事情を理解した祖父母は、

おじいさん
おじいさん

A子は私たちの娘じゃ、A子を親と思わない態度をとるのであれば、あなたたちは私たちの孫ではない。2度と私達の前に現れるでない。

と追い返したらしい。

A子が昔、娘2人をおんぶ&だっこで保育園に連れて行き可愛がっていた頃を思い出す。でも、そんな想い出をA子はすべて忘れてしまいたいと思っている。きっとそれ以外にもいろいろあったのだろう。私の軽い言葉で思い出させてしまった。

夫婦は他人だ。子供も半分は他人のDNAだ。夫婦が離婚するように、親子関係に何も感じない子供がいることは自然なことだ。きっと相手のDNAの影響が強かったのだ。

A子はそう考えて、嫌な感情を吹っ切ることができたという。

今は子供たちのことでイライラすることがないので毎日が楽しいの。毎日が楽しいから嫌なことは忘れてしまったのかな。もう考えることもなくなってしまった。だからもう大丈夫よ。

と、彼女は笑った。

まとめ

「嫌なことは忘れてゆく、それは自分を守るために必要なことである。」